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Brillia ART AWARD

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No.12 
Brillia ART AWARD 2021作品・アーティスト紹介

TITLE:
虚実の距離 BL
CONCEPT:
見えること、見えないもの、見えていたものや見えなくなること。
それらを見ようとすることや別の何かを想像すること。
絶え間なく流れている時間の中で日々同じような周期で繰り返し行われていながら同じではないこと。
凹と凸があるということ。近づくことや離れること。虚と実でもあること。
それ以外の存在によってそのものがより一層鮮明になること。両者の間にも距離があること。
これら作品の中に起こる事象や関係性は我々が生きているこの世界や社会の在り方を示唆しています。そして、我々の知覚に働きかけながらこれまでとは違った位置からそれらを見つめる機会を作品として提示します。

空の器には何かが注がれるべきで、種は生きる為の糧となって次の世代へと受け継がれるものです。

ARTIST PROFILE

大西 康明 / Yasuaki Onishi
2001年
筑波大学芸術専門学群美術専攻卒業
2004年
京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了
2013年
Mono No Aware/エルミタージュ美術館, St. Petersburg|ロシア
2014年
想像しなおし/福岡市美術館, 福岡
2017年
個展 空間の縁/アートコートギャラリー, 大阪
2018年
5 Rooms II – けはいの純度/神奈川県民ホールギャラリー, 横浜
2018年
THE MOON/Louisiana Museum of Modern Art, Humlebaek|デンマーク
2019年
Negative Space/ZKM, Karlsruhe|ドイツ
2019年
個展 Permeating Landscape
/Bellagio Gallery of Fine Art, Las Vegas|アメリカ
2020年
高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.09
時どきどき想像/高松市美術館, 高松

ARTIST VOICE

Q:応募のきっかけは?
A:様々な人が行き交う都会の中心という環境と外光の入るガラスケースに囲われた展示スペースに魅力に感じて応募しました。足を止めて思いがけずに作品と出会うという可能性もきっかけの一つです。

Q:どうやって企画を考えたのですか?
A:日常生活に近い食物や食器の間にある空間を空気の入った袋が動くことで、食べることに始まって目に見えないものの存在にまで想像を巡らせる場所になることを考えました。

Q:作品に込めた想いを教えてください。
A:作品の中で起こっていることをきっかけに、人の手を超えるようなものや、言葉では言い表せない感覚、思い出すこともなかった記憶にまで意識が飛躍していくものになることを期待しています。

Q:実際に作品を完成させた感想をお聞かせください。
A:現場での制作は予想しなかった問題も発生し、それらを解決することが次なる作品へと繋がっていく実感があります。通りかかった人がこの場所での恒例となった展示を楽しみにしていたようで、そこに参加することができて、制作ができて作りたかったものが無事に完成して良かったなと素直に感じました。

EVALUATION

小山 登美夫
(小山登美夫ギャラリー代表 / 日本現代美術商協会代表理事)

ビンや食器など日常生活からつながる清潔なの空間のなかで膨張していく塊が天井からの柔らかい力で形を変えていく。オフィス街のど真ん中のガラス張りのウィンドーのなかで突然動き出す物体への驚きとともに、2つのものの接触とその柔軟な対応が、なにか日々の人と人との関係性を思い出させ、感情や精神の動きにもつながる、そんな作品になっていると思います。

野老 朝雄
(美術家) ※特別審査員

この作品は、私が制作する上で意識している「律動=リズム」の考え方に重なりを覚えた。繰り返し空気が注入されて上下する様は、脈拍のように時間を刻み、普段意識をしていない−呼吸−の動きに例えられて、「生きる」というメッセージを感じた。コロナ禍においてマスクで制限された息苦しさばかり気になっていたが、ユーモラスな表現で、今の状況をポジティブに生きることだと気付かされた。本作は小さな空間で表現されているが、できれば、作者が海外などで発表している、大空間の作品の中に身を置いて体験したいと思う。

中尾 英恵
(小山市立車屋美術館学芸員)

ゆっくりとゆっくりと膨らんでいく時間は、ある種の瞑想に誘うようです。「半透明」という二項対立の間にあるものを用い、その両極を媒介することによって、様々な関係性の上に、私たちの暮らしがあり、不確かなグラデーションの中で生きていることに思いを巡らす作品であると思います。ガラスを通して東京と一体になれるユニークなギャラリースペースの特性を活かし、忙しい東京のオフィス街に一時的な静寂をもたらしてくれると思います。

坂本 浩章
(公益財団法人彫刻の森芸術文化財団 事業推進部 シニアマネージャー)

ギャラリーに並んだ数多くの食器は、都市の景観のように見立てられており、その空間を包みこむように上下するビニール袋が都市の呼吸にも捉えることができる。天井から吊り下がった穀物は、我々が日々の糧に必要なものとして供給されては消化していく。コロナ禍において私たちの生活様式は変わり、新たな習慣と価値観が必要となってきたが、地球という大きな自然環境においてはこれまで通り、変化なく季節が移り変わり、動植物の生命の営みは続いている。「いわば変わったのは人間社会だけだった」と、この作品を通して気付かされた。

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